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KURENAI : Kyoto University Research Information Repository

Title 知覚動詞のアスペクトと意味拡張--自他対応と主観性

Author(s) 高嶋, 由布子

Citation 言語科学論集 = Papers in linguistic science, 14: 31-55

Issue Date 2008-12

URL http://hdl.handle.net/2433/88068

Rights

Type Departmental Bulletin Paper

Textversion publisher

Kyoto University
知覚動詞のアスペ ク トと意味拡張
一 自他 対応 と主観 性一 汁

たかし吏 ゆふ こ
高嶋 由布子
京都 大学大学院/日本学術振興会
yuf
uko・
t@gma
il・
com

1
.は じめに
日本語 の知覚動詞 には、他動詞 と自動詞 が ある。 この とき、感覚モ ダ リテ ィごとに検討
し直す と、 (
1′2) に示す よ うに 「
見 る ・聞 く」 と 「
見 える ・聞 こえる」 は他動詞形 と自動詞
形 の対応 関係 があ る。 しか し、 (
3) の よ うに喚覚の 「 喚 げ る」 とい う自動詞形
喚 ぐ」 は 「
を持 たない 1。 これ はなぜ だ ろ うか。

(
1) a. 太郎 は富士 山を見た / b. (
太郎 には)富士 山が見 えた
(
2) a. 太郎 はその昔 を聞いた / ち. (
太郎 には)その昔が聞 こえた
(
3) a. 太郎 はば らを喚 いだ / b.汁 (
太郎 には)ば らが喚 げた
C. ば らが (
匂 う/
香 る)

本稿 では この対応 関係 につ いて観 察 を進 め る 。 日本語 の知覚動詞 には他動詞 と自動詞 が


あ り、視覚や聴覚 、喚覚 な どの感覚モ ダ リテ ィに よって、その存在 とふ るまいに差異が あ
るこ とを指摘す る。 また、 これ らが複数 の語義 を持つ ことに注 目 し、それぞれ の動詞 の 中
心的 な意 味だけでな く、多義 を整理 し構造化 し、それぞれ の語義 での対応 が あるか分析す
る。 この ことか ら、知覚 の言語表現 に主観性 と身体性 が反映 され てい るこ とを示す ことが
本稿 の 目的であ る。感覚モ ダ リテ ィご とに異 同が あること、す なわち 目や鼻 な ど知覚器 官
の解剖 学的な相違や 、光や においな ど情報 のあ りかたの ヴァ リエー シ ョンに着 目し、 これ
らが どの よ うに言語表現 に反 映 してい るか考察す る。 た とえば、 目で知覚 で きるのは身体
の前側 にあるもので、眼球や 首や身体全 体 の向きを動 かす ことで、 自分 で刺激対象 を選 び
とる行動 を伴 うのに対 し、耳は前後左右 上下 どこか らの刺激 も受容す るこ とが出来 る一方
で刺激 を選択す るのは難 しく、 「
注意 をむ ける」 のは専 ら意識 の問題 になる。 また、聴覚 と
音源 」「
喚覚は 「 匂 いの出 どころ」か らの 「 光の出 どころ」
刺激」を とらえるが、視覚では 「
刺激 」 を分 けて捉 えることはないな どの特徴 がある。
と 「
知覚 は、他者 と共有で きる客観 的 な外界 の情報 に関す るもので あ りなが ら、感情や 思考
の よ うに知覚 してい る主体 に しかわか らない心理的 ・主観 的な側 面 ももってい る。 ゆえに
知覚動詞 の表す意味は、客観 的世界で あ る外界 と心の内側 の主観 的認識 とい う両方 の側 面

知覚動詞 のアスペ ク トと意味拡張 」


◎高嶋由布子、「
『言語科学論集』、第 1
4号 (
200
8)、pp・
31-
55・
3
2

を同時 に持つ と考 え られ る。 この よ うな意味で、認知言語学 の重要 な軸 の一つである 「



語 の主観 的 な意 味-身体性 が反 映 してい る」 とい う考 え方 に とって重要 な観 察対象 であ る
といえよ う 。

また、 日本語 の文法研 究にお いて 自他対応 はアスペ ク トとヴォイスの問題 と して扱 われ


てきたが、 これ まで知覚 の動詞 は少 々特殊 な もの とされ 、 この観 点か らは一般化 の対象か
ら外 され 、あま り詳 しくは扱 われ て こなかった。 知覚動詞 の 自他対応 は、視 点 と主観性 が

問題 とな る。 ゆえに La
ngac
kerの認知文法論 にお ける視 点 を考慮 したステー ジ ・モデルの
枠組みか ら分析 を試み る。
ここではアスペ ク トと主観性 が知覚動詞 の 自他対応 関係 の分析 に必要 な観 点である と し、
多義構造 を この二つの軸か ら整理す る 。 この こ とか ら知覚 の他動詞 と自動詞 が、主観性 と
身体性 を どの よ うに反映 してい るのかにつ いて考察 を進 める 。

なお ここでは、五感 (
五官) とひ と括 りに され るこ とが多 いが、直接対象 に触れ る近感
覚である触覚 と味覚は扱 わず 、遠感覚である視覚 ・
聴覚 ・
喚覚 について扱 う 2。
本稿 の構成 は、以下の よ うである。第 2 節で知覚動詞 に関す る先行研究 を概観 しなが ら
知覚動詞 の特徴 をま とめ、問題 点 を指摘す る 。 主 に 日本語 につ いて どの よ うに記述 して こ
られたか、認知言語学の枠組みの もとでは何が指摘 され てきたかにつ いて扱 う。第 3 節 で
は動 詞 の 自他 対 応 に 関す る言 説 につ い て ア スペ ク トを 中心 に ま とめ る。 第 4 節 で は

La
ngac
kerの視点 に関す る理論的枠組み を導入 し、これ をもとに第 5節 で動詞 の複数 の語義
と自他 の対応 につ いて分析 を進 める。 その上で動詞 の多義構造 を第 6 節 に示 し、感覚モ ダ
リテ ィごとの相違点 と知覚動詞 に共通す る特徴 につ いてま とめ、考察 を述べ る。

2.知覚動詞 の意味的特徴
1 知覚動詞 の特徴
2.
寺村 (
198
2:1
74)は、人間の身体 の動 きに、非意思的 な もの (
落 ちる、 目が覚 め る、年
を取 る) と意思的 な もの (
降 りる、食べ る、歩 く)が あ り、 この意思的な活動 の中で も、
肉体的動作 ・外 的活動 (
食べ る、歩 く) と、頭脳 ・心 な どの内的活動 (
思 う、恐れ る) の
別 が あるこ とを指摘す る。 この とき、五官の発動 (
見 る、聞 く) が外的活動 と内的活動 の
中間にあ ること、 さらに知覚作用 に能動的 な もの と、受動的 自発 的な ものがあるこ とを指
摘 してい る。 前者 に 「
見 る、聞 く、喚 ぐ、にお う、感 じとる」、後者 に 「
見 える、聞 こえる、
匂 いがす る、感 じがす る、気付 く」を挙 げてい る。
また、感覚モ ダ リテ ィを トップダ ウン的 に与 えて整理 した、知覚動詞 の語柔構造 につい
2006) があ る。 自他 対応 に関 しては、 「
ての考察 に、小 出 ( 同 じ情報 を獲得す るに して も、
『見 る』『聞 く』に比べて 、『見 える』『聞 こえる』は知覚 の成立が偶発的で、意図性 が弱 く、
受動的 とい える側 面 を持 ってい る」 とい う 。 これ を意志性 だけの問題 ではな く、次の (
4)
の よ うに他動詞形 の前者 「「
見 る」 「
聞 く」 「
か ぐ」 は 情報獲得 を意味 しない場合があ る」 こ
とを指摘 してい る。 3
『言語科学論集』第 1
4号 (
2008) 33

(
4) a. 目を凝 らして よく見たのだが、何 も見 えなかった
b. 耳を澄 ま して よく聞いたのだが、何 も聞 こえなかった
C. 鼻 を近づ けて匂いをかいだが、何 も匂 いが しなかった 小 出 200
( 6:4)


」、出は、 「日本語 にお いて知覚過程 の 2つ のステ ップ を区別 し語嚢 的 に区別 してい る」とい
う考 え方 を提案す る。 これ は寺村 (
1982) の 「
能動的 ・
受動的 自発的」の別 よ りも強 い説 で
あ り、前者 はその 1 つ のステ ップである 「
知覚情報獲得 のための行為その もの」 を表 し、
語用論 的含意 」 であ る と してい る。後者 の 「
結果 と して情報 が得 られ ることを 「 聞 こえ る」
見 える」「
「 匂 いがす る」 が も う 1つ のステ ップであ る 「
知覚 の成立局面 」 を示 し、 「
情報
の受容的な側面 に焦点があて られていて、 どの よ うに知覚が成立 したかについては言及 し」
ていない もの とす る。
見 える」
これ らの先行研 究では、 「 「 見 る」
聞 こえる」は、他動詞 「 「
聞 く」の語尾 が変化 した
自動詞形 であるのに、同 じ遠感 覚 で も「
喚 ぐ」にはそれ がない こ とがなぜ なのかにつ いてふ
れ られてはいない。 また、 これ らが知覚 を表す だ けでない意 味の広 が りを持っ ことな どに
関 して も言及 はない。 これ に対 し本稿 の第 5節 では、動詞 の意 味の広が りと自他対応 につ
いて、感覚モ ダ リテ ィ間の類似点 と相違点 を観 察す る。

2 認知言語学における知覚動詞分析 :知覚者 の役割の解釈 をめ ぐって


2.
2.
2.
1知 覚者 の格 役割 の意 味的 二 面性
格文法理論では、知覚 の表現 にお ける知覚者 は、意 味的 には経験者格 を と り、対象 は影響
を受 けない絶対格 となる とされて きた。
La
kof
f(1
993)は、以下の よ うな知覚 の文の観察か ら、知覚者 の格役割 は二面性 を持つ こ
とを指摘 してい る。 まず 、(
5) (
7)の よ うに f
rom 句 が知覚者 の位置 を示す とき、知覚者 は
知覚行為 の起点 とな り、情報 をつかみ とるメタファー的動作主の意 味役割 を担 って い る と
す る。一方で (
6a′
C)(
8)知覚刺激 の場所 を f
rom で とる とき、知覚対象か ら知覚者 -の刺
激 の メタファー的 な移動 が あ り、知覚者 は対象物 か らの情報 を受 け取 る役割 を担 い、着点
あるいは被動作主的な意味 を持 ってい る とい うことを指摘 してい る。

(
5) Fr
om myof
fi
ce,Ic
ans
eet
heba
y・
(
6) a・Thevi
ewbl
ewmeawa
y・
b・"
From myof
fi
ce,t
hev
iewbl
ew mea
way・
C・Thevi
ewf
rom myof
fi
cebl
ew mea
way
(
7) Fr
om myof
fi
ce,Ic
anhe
art
het
rai
ns・
(
8) Thenoi
sec
amet
hrought
hewa
lls
・ (
ibi
d.)

この よ うに、知覚行為 は、知覚者 か ら知覚対象- の行為 、知覚対象か ら知覚者- の移動 と


34

い う二つ の方 向 どち らで も表現 され るが、 これ が同時 に言語化 され るこ とはな く、-文 中


6b) の よ うな文 は容認 され ない。
では一貫 して一方の方向のみ を とるため、 (
谷口 (
200
5)は、知覚の方 向が一方 しかない感覚モ ダ リテ ィ と双方 向あるものを区別 し、
それ ぞれ一方 向性知覚、二方 向性知覚 と呼んでい る。

(
9) a・Is
mel
ledt
hegar
li
c・ (
Exper
ienc
er-
bas
ed)
b・Thega
rli
csmel
lsgood・ (
Sti
mul
us-
bas
ed) 谷 口 20
( 05:
217)

9) の よ うに喚覚の表現は知覚者 と刺激 どち らも主語 に とることがで き、知覚者す なわち


(
経験者 か らの対象-のメンタル ・コンタク ト4 と対象か ら知覚者- のメンタル ・コンタク ト
どち らもが許容 され る。

(
10) a. Thei
sme
ll/
sound)r
eac
hedme.
b・ ???Thet
sight
/t
ast
e/f
eel
ing)r
eac
hedme・ (
ibi
d.:
219)

これ は、 (
10a) の よ うに喚覚 と聴 覚で成 り立 ち 、 (
lob) に挙 げ るほかの感覚モ ダ リテ ィで
は成 り立たない。 これ をま とめる と (
ll)の よ うにな り、 これ を図 1に図示す る。

ll) a. 一方向性知覚 :視覚 、味覚、触覚


(
・経験者 か ら対象-のメンタル ・コンタク ト
b. 二方向性知覚 :喚覚 、聴覚
・経験者 か ら対象- のメンタル ・コンタク ト
・対象か ら経験者- の刺激発散 (
匂 い、音) (
ibi
d.)
刺激の発散
-
一 , - →・-、

∈)
;:
9
:,
;;
,
,
LO G : ,
: , :I;;, LO

(
i)-
j 一
方向性知覚 (
t) 二方向性知覚
j

図1 谷口 (
2005:
219)

問題 点 を指摘す るな らば、 この二分法 は、対象が、空間的 な物体 であ るこ とを前提 に し


てい る とい う点が挙 げ られ る。 つ ま り、視覚 と触 覚 に よって捉 え られ る延長 を持つ物体 を

対象」 としてい るのである。対象 が、 「
音」や 「
匂 い」 とい う刺激 自体 なのか、それ とも
音 を発す るス ピーカーや人 、あるいは匂 いの源 にな る花や ゴ ミであ るのか を区別 して考 え
匂 いがす る」「
る必要がある。二方 向性知覚で 「 音がす る」は、刺激 の発散 と捉 え られ るが、
刺激 」 である 「
遠感覚 である視覚では、 「 光 」 を捉 えた とき 「
光 ってい る」 とい う表現 を刺
『言語科学論集』 第 1
4号 (
200
8) 3
5

激 の発散 と捉 えるべ きだ ろ う 5。 この よ うな意 味で、 この二分法 は、十分 な もの とは言 えな


い し、 「
見 る、聞 く」 と 「
喚 ぐ」 の違 い を表 してはいない。
また、 日本語 の知覚 の 自動詞 の性 質 を考 える際 、 さ らな る枠組 み を用意す る必要 が あ る
見 える、聞 こえ る」 といった 自動詞 は、対象 か ら知覚者 - の移動 に
だ ろ う。 とい うの も、 「
なぞ らえ られ る志 向性 を持 ってい るか とい うと必ず しもそ うではないか らで あ る。

12) a
( . ここか ら富士 山が (
見 え る/
叶見 えて くる)
b.遠 くか ら笛 の音 が (
聞 こえる/
聞 こえて くる)

た とえば (
12a
)ではカ ラ格 が何 の起点 か とい うと、それ は知覚者 の起点で あ り、知覚対象
である 「
富士 山」 の起点で はない。 一方 で (
12b) では音 の起点 がカ ラ格 で示 され て い る 。

この よ うに場所格 に関 しては 「 聞 こえる」で別 の振 る舞 い をす る。 ゆ えに、


見 え る」 と 「
移動 」 の よ うな もの を示す とい う主張 は、 「
自動詞 が対象 か ら知覚者- の 「 聞 こえる」 な ら
ばそれ に当てはま るが、 「
見 え る」 は当てはま らないた め、知覚 の 自動詞一般 の性質 とはい
えない ことが指摘 で きる。

2.
2.
2意 味 的 二 面性 を基盤 に した他 動 詞 の意 味拡 張 と知 覚者 の意 図性
高嶋 (
200
7′2
008
a′2
008
C)では知 覚者 の能動的 な動作主的側 面 と受動 的 な刺激 の着 点 と し
ての役割 を持つ とい う二面性 か ら 「 聞 く」 の意 味拡 張 を説 明 した。 これ は他 動詞 だ け
見 る・
の検討 で、空間内の関係 の面ではな く意 味拡 張 につ いて次 の よ うな例 を挙 げて説 明 した。

13) a
( . 太郎 が窓の外 を (め/
ぼんや り)見てい る (目を向 けてい る+視 知覚)
b. 喫茶店 か ら (じっ く り/
偶然 )撮影現場 を見た く
(意 図的/
偶発 的 )視知覚)
C
. cD を聞 く (
CD をか けるな どの意 図的行為 を含意)
d.爆発音 を聞いた とき、僕 は裏庭 にいた く
偶発 的知覚)
14) a
( . 書類 を (じっ く り/
?ぼんや り)見て結論 を出 した く(
視知覚) +概 念的検討 )
b. (喚 いで/
や って/
聞いて/
解 いて )み る
C. わか らない ところを先 生 にき く (
質 問す る)
15) a
( . その学生 は (
ぼんや りしていたせ いか) (
痛 い 目/
憂 き 目/
泣 き/
地獄 )をみ た
b. 事件 が解 決 をみ る

知覚 の意 図性 の有無 どち らも許 容す る こ とをまず (


13) で示す。 この意 図的 な知覚行 為 の
意 味 を含 んでい る こ とが (
14) の概 念 的 な情報 の検討や情報 を得 るた めの行為-拡 張す る
15) の (
基盤 とな る。 一方 で偶発 的 な情報 の知 覚 が あ るこ とが ( 経験す る) とい った意 図
性 のないイベ ン ト、望 んでや った こ とで ない こ と- の拡 張 の動機 付 けにな ってい る と考 え
られ る。 意 図性 の ない知覚 、す なわ ち情 報 を得 よ うとす る能動 的行 為 とい うステ ップ を伴
36

わず 、能動的行為 を伴 わない情報 の受容 だ けを表す ことがあるため、 (


経験す る)の意 味-
拡張す ることがで きる といえよ う。 このた め意 味拡張の観 点か ら鑑 み る と、他動詞 が一概
能動 的 」知覚だけを表 しているわ けではない とい える。小 出 (
に 「 2006) で二つのステ ッ
プを語嚢 的 に区別 してい る とい う主張が あったが、他動詞 で も修飾語 をかえることで どち
らのステ ップ も表せ ることや 、身体的特徴 か ら 「
聞 く」 にはほ とん どそのステ ップが ない
こと (
音 が聞 こえない と音 を聞 くことがで きない)か ら、他動詞 と自動詞 には別 の違 いが
ある と分析 してい くほ うが現実に即 してい る と考 え られ る。
しか し、高嶋 (
2008a) は意 味的特徴 か らの考察で しかな く、文法上の特徴 、意思性や ア
スペ ク トといった観 点か らの分析 が さらに必要 であ る。 このため、第 3節 と第 4節 では こ
の他動詞 と自動詞 の関係 と自発態 についてそれぞれ ま とめ、分析 の枠組み を導入す る。

3
.アスペ ク トと自他対応
他動詞 が、対応す る自動詞 を持つか ど うかに関す る研 究は古 くか らあるが、早津 (
1989)
は対応す る 自動詞 を持つ他動詞 (

倒す 倒 れ る)」「
( 曲が る)」 な ど) を有対他動
曲げ る (
詞 、そ うでない もの (
叩 く」「
「 読む」 な ど) を無対他動詞 と呼び、 「
有対他動詞 には、働 き
かけの結果 の状態 に注 目す る動詞 が多 く、無対他動詞 には働 きか けの過程 の様態 に注 目す
る動詞 が多 い」とい う特徴 があることを述べ てい る。有対他動詞 は 「
割 る、温 める、移す 、

決 め る」 な ど対象の変化 を含意す るものが多 い とい う 一方で対象 の変化 を引き起 こさな


い 「
考 える、認 める、調べ る、喚 ぐ」 の よ うな思考 ・判断 ・探求 ・知覚 な どを表す動詞 は
無対他動詞 になってい る傾 向があるとい う 。

16) a. 切 って も切れ ない縁


(
b. 電話 をかけたがかか らなか った (
早 津 1989:
238)
(
17) a, (ひ も/
縁 )を切 った / a′
. (
ひ も/
縁 )が切れた
b.電話 をかけた / b′
. 電話 がかかった

16) でみ るよ うに、有対他動詞 が対応す る 自動詞 とともに用い られ る とき、結果 をキャ


(
ンセルす るこ とがで き、他動詞 には行為 の過程 の意 味だけが解釈 され る。 しか し (
17a
′b)
の よ うに、他動詞が過去 を示す タ形である場合 、たいてい (
17a
′′
b′)は含意 されてい る と解
釈で きる。
これ をアスペ ク トの観 点か ら考 える と、有対他動詞 は継続相 と完了相 を どち らも持 って
いて、 自動詞 は完了相での意 味 と対応 してい る とい うことがで きる 。 自動詞 は項 の数 が一
つ減 り、 ヲ格 を とる行為 の対象 が存在 しな くな る ことか ら、他動詞 で示 され る継続相 の活
動動詞 的意 味は持たない。 有対他動詞 には継続相 の働 きか けの様態 が示 され ない動詞 が多
16) の よ うに対応す る 自動詞 で完了相 での意 味のみ を否定す ることによって、継続
いが 、 (
相だ けの意 味が解釈 され る。
『言語科学論集』第 1
4号 (
200
8) 3
7

見 る、聞 く」 は早津 (
実際の ところ、本稿 の 中心 で あ る 「 198
9)や佐藤 (
200
0)では例
外 である と して 、有対他動詞 (
佐藤 の用語 では相対他動詞 )と して扱 っていない。 しか し、
自他 対応 派生 は、言語 の歴 史的変化 に よる過 程 を経 て きてい るた め、一概 に規則 的だ と主
張 はで きない。 む しろプ ロ トタイ プ ・カテ ゴ リー をな してい る と考 え、知覚 の他 動詞 「

る、聞 く」 と自動詞 「
見 え る、聞 こえ る」 の対応 関係 もまた、 これ らの有対他 動詞 とあ る
一定の特徴 を共有 してい る と考 え るのが妥 当で あろ う ゆえに (
。4) でみ た 「
見た け ど見 え
なか った 」 な どの文 は以上で述べ たアスペ ク トの観 点か ら解決 で きる とい って よい。
ちなみ に佐藤 (
200
0)は 自動詞 文 と他動詞 文 の主語 を担 う名詞 句 が異 な る こ とを相対他
動詞 の条件 と してい る (
ibi
d.:
37)。 しか し、 「
見 る/
見 え る」は (
19) の よ うな敬語語尾 の一
致 のテス トで、一致 して しま うこ とに よ り例外 と して分析 か ら省 かれ てい る。

(
18) a. 殿 下 に雅子様 が見 える / b. 殿 下が雅子様 を見 る (
ibi
d.)
(
19) a. 殿 下 に雅子様 がお見 えにな る / b. 殿 下が雅子様 を ご覧 にな る (
ibi
d.)

確 か に知 覚 の 自動詞 では知 覚者 が背景 に読み込 まれ 、主語 的役割 を担 ってい る と考 える こ


ともで きるが、次の (
20)の よ うな文 では、知覚者 は文 に とって必須 の要素で はないた め、
19) で主語 の役割 を担 う名詞 句 が一致 してい る といつ で も主張で き るわ けで はない。
(

(
20) 天気 の良い 日は筑波 山の 山頂 か ら富士 山が見 える

この よ うに、知覚 の 自動詞 では知覚者 の存在 をほ とん ど合 意 しない表 現 も と られ るこ と


か ら、次節 では 自他 対応 だ けで な く、 自発態 に関す る考察 を踏 ま え、知覚者 の存在 とそ の
認知文法 的モデル化 につ いてま とめ る。

4.
自他対応 とステージ ・モデル
1 自発態 と自他対応
4.
寺村 (
198
2)で は他 動詞 と自動詞 の関係 につ いて は、 自発 態- の言及 の なか で取 り上 げ
てい る。

21
( ) a. 昨 日の火事 で家 が十軒焼 けた
b. ガ ラスが割れ る (
音 がす る) 寺村 1
( 982:
271
)
(
22) a. 〔
誰 かが〕家 を焼 く
b. 〔
誰 かが〕 ガ ラスを割 る (
ibi
d.)
(
23)a
. 他動)-
xガ Ⅴ ( e-(
ru)
b.Yガ X ヲ Ⅴ (
他動) -(
ru) (
ibi
d.)
38

寺村 によれば、 自発 について一般化す ると、 (


21) と (
22) の対応 関係 のよ うに (
23) のよ
うな規則的な対応がある構文の意味は、 「
あるもの (
X) が、 自然 に、ひ とりでにある状態
を帯び る、あるいはある X を対象 とす る現象が 自然 に起きる」 (
ib
id.
)とい うことだ とい う。
(
23a)は (
23b)での V の動作主 Y が姿を見せず、「
家が焼 けた りガラスが割れた りす るの
は、何 らかの原 因があ り、その中には何 らかの外力が加 わってそ うなった、 とい うことも
あるであろ うが、 自発表現は 、V-
の主体 を不問に付 した、あるいはそれが意識 に損 しない、
とい うところにその本質がある」 (
ib
id.
) と述べ る O


見 える、聞 こえる」 は他 の 自他対応 のある動詞 がほ とん ど五段活用の ものであるのに
対 し、形態的に特異である うえ、 さらに受動態 と自発態の差が微妙 であることが次の よ う
な例か ら指摘 され る。

24) a
( 見 られ/
. ここ-来 るところを誰かに ( ?見 え)なかったか ?
b. 困惑 した様子が (
見 られた/
見 えた)
C
. 彼女は若 く (
鼠 られ る/
見える)
d.北の方に筑波 山が (
鼠 られ る/
見 える) (
ib
id.
)
25) a. 立ち話が彼 らに (
( 聞かれた/
聞 こえた) らしい
b. 立ち話が誰かに く
聞かれ/
?聞 こえ)なかったか ?
C. 遠 くに波の音が (
?聞かれ る/
聞 こえる) (
ib
id.
)

述語が受身形 の時は動作の主体の 『意識的、主体的な認知 、認識 』を表す


これ について 「
のに対 し、 自発形の時は 『無意識的な知覚』『自然 に視覚、聴覚 に生 じた印象』を表 してい
るよ うである」 (
ib
id.
)とい う。 自然現象 ( 25C
24d) ( )の ときは 自発態が容認 され、知覚者
の意識 的な知覚の ときは 自発ではな く受身形 が使 われ るとい うことである。
この よ うに、 自発態 につ いて考 える とき、参与者 の関わ り方の度合 いが問題 となって く
る。次節では叙述のスコープ とい う考 え方 を導入す る。

4.
2叙述のスコープ と自動詞 ・他動詞
自動詞 と他動詞 の違いは、言語表現内に現れ る動詞 の項 (
参与者)の数 の違 いである。 し
か し、寺村の観察 を認知文法的に検討す るな らば、表現内に直接示 され る項だけでな く、
参与者 が背景に どの程度解釈 され るかが これ ら態 をあ らわす形態素 (
一r
u/-
eru)に示 されて
い るとい うことができる。つま り、態 をあ らわす語尾は La
ngac
ker
(1991)
の叙述のスコープ
の範囲を指定 している、 と考 えることがで きる。
叙述 のスコープ とい う考 え方 において、言語上に明示的に示 されてい ることは直接 ス コ
ープの範境である。 明示的でな くとも、その表現 を理解す るために必要 となるフ レーム的
知識 は、背景に存在 してお り理解 を支 えてい る。 た とえば 「
指」が 「
手 」 の部分であるこ
とがわか る、つま り 「
指」の叙述 のス コープには 「
手」が含 まれ るといった よ うな考 え方
『言語科学論集』第 1
4号 (
2008) 3
9

である。 (
cf・
Langa
cke
r1991:
ch・
1)
もともと La
ngac
kerの認知文法 は空間文法 と呼ばれ 、概念化 は視覚的-
空 間的な認知 に拠
ってい るこ とを前提 と し、視覚 的空 間のモデル に よって説 明 され る (
cf・La
ngac
ker1
999:
20
5)。(
26a
′b) に対応す る図 2 (
a)の よ うに Vi
ewe
rをオ ンステー ジ領域 に含 まないで概念
化す る場合 と図 2 (
b) の よ うに Vi
ewe
rをオ ンステー ジに含 んで概念化 され る場合 がある。

(
26) a. (
私 には) コ ップが見 える
b. 私 は コ ップ を見 る
C. コ ップがある

viewer
Ⅴ:
percei
p: ved o jectl
b

OS:
on-stage
PF:
percep tual field

図2

私 」 が Vi
知栄者 -概念化者 である一人称 「 ewe
rになるよ うな (
26b) の表現 の場合 には、
その 自己 自身 まで概念化 -言語表現上 に表 していて、知覚者 は 図 2(
b)の よ うにオ ンステ
ー ジに入 ってい る。 しか し、 (
26a) の よ うな場合 で も 「
見 える」 と表現す る主体の存在 は
言語表現上 に表 され ていな くて も含意 されてお り、オ ンステー ジではないが図のス コープ
の中には入 ってい る。このス コープについて さらに考 えれ ば 、(
26C)で も知覚者 の存在 は背
景 にあ り、 この ときそ こにモ ノが存在す ること、それ を (コ ップである) と認識 してい る

ことまで を背景 に解釈 できる。 (


cf.
Langac
ker200
2)
つ ま り、知覚 の 自動詞 は、知覚者 を直接的な項 に とらな くとも (
ニ格 で表す こともで き
るが)、知覚者 が背景 に存在 してい ることを示す表現である といえる。

5
.知覚動詞の意味拡張 とアスペ ク ト
1視覚での意味の広が りと自他対応
5.
5.
1.
1知覚 の意味での 自他対応
(
27) 目を凝 らして よく見たのだが、何 も見 えなかった (
-4a) (
小出 2006)
4
0


見 る」 には、ほかの有対他動詞 と同様 、対象 に対 して視線 を向けてい る段階か ら、対象
が何 であるかわか る (
-知覚す る)段階、 さらにその変化 を見続 けるといった よ うな時間
的な切 り分 け方す なわちアスペ ク トの違 いがある。 目を向けている段階は継続相的であ り、
知覚 した段階は結果 としての完了相 であ る。 この結果 キャンセル文の容認性 は他動詞 で ヲ
格 を とる対象物 と自動詞 のガ格 を とる主語 が異なるために起 こっていると考 え られ る。

(
28)a
. 目を凝 らして窓の外 を見たが、暗 くて但も見えなかった
b.汁窓の外 を見たが、窓の外が見 えなかった
C
. 外を (
キ見た/
見 よ うとした)が ドアが開かず (
何 も) (
?見え/
見 られ )なかった
29) a."少年は 目をつむってボール を見た
(
b.?この少年 には 目をつむったままボールが見える

す なわち (
28a
)の文では、 「見 る」 の ヲ格 を とる対象の名詞 と 「見える」でガ格 を とる名
詞 が本 当に一致 しているのかが成立の要因になる。つま り、(
28b)で示す よ うに、「(
場所)
場所)が見えない」は成立 しない し、「(
を見て ( 場所) を見る」 は 「(
場所) として見 るこ
とができる」ことがまず必要である。その先で 、(
28a
)のよ うにその (
場所)に (
情報 (

)があるかな い かが問題 になるとき、つま り環境 に情報がなかった場合のみ 「
覚の対象) 見
える」の否定 「 29C
何 も見 えない」が用 い られ る。 ( )のよ うに知覚者側 が環境-のア クセス
ができなかった ときは、「
見 (ら)れない」あるいは 「
見 ることができない」が用い られ る。
見る」 ためには 目を開けている必要 もあ り、 (
また、「 29b) の よ うな文が成立す るのは少年
の能力 に依存 しているとき、つま り彼 が超能力少年だ とい うよ うな ときだけである。
見 る」 と 「
この よ うに 「 見 える」の関係 は、当た り前だが他動詞 か 自動詞か とい うこと
に尽 き、 (
30) に示す よ うに意志性 を持 った主体が何かを見 ることはできて も見えるよ うに
す ることはできない。

30) a. 左 を見て !
(
b.キ左が見えて !
C
. 窓の外が見えるよ うに して !

さらにい うな ら 「
見 る」 ことは他者 か らも見 える とい う意味で客観的行為 とな り、 (
30a)
の よ うに他者か ら命令 され うるが 、 (
30b) 「
見 える」 ことは対象 を共有す ることで しか、客
観性 を保てない とい う意味で も主観的な表現であるが 、(
SO〔)の よ うに 「
見 える状態 にす る」
ことはできる。

31) a
( . 星を (じっ くり/
??はっき り/
???きれ いに)見 る
b. 星が (
?じっ くり/
はっき り/
きれ いに)見える
『言語科学論集』第 14号 (
2008) 41

行為 の様 態 を修飾す る副 詞 「じっ く り」 は他動詞 で、対象 の様態 を修飾す る副詞 「


はっき
り、 きれ い に」 は 自動詞 で容認性 が高 い。 つ ま り、他動詞 では知覚す るこ と自体 が表現 の
中心で あ るの に対 し、 自動詞 では対象 の あ りよ うが表現 の中心 となってい る。 つ ま り当然
なが ら、他動詞 は主体が対象 に何 か してい るこ と (ここでは知覚 とい う行為) が中心であ
あ る」 のか (ここでは知覚 され るこ と) が 中心で ある。
り、 自動詞 はモ ノが どの よ うに 「

32) a. (
( 今 日/
山の上か ら)は北斗星 が (
はっき り/
きれ いに/
た くさん )見 える
b. 金星 はほかの星 よ り (はっき り/くっき り/きれ いに)見 える
C. 星 は 日が暮れ て夜 にな る とはっき り見 えるよ うにな る

32a) の よ うに特 定の場所 、時


時 間や場所 な どのセ ッテ ィング とアスペ ク トを考 える と、 (
間 を指 定す るこ ともで きる し、 (
32b′
C)特 定の場所 ・時 間でな く、いつ も ど うであ るか も示
す こ とがで き る。

33) a. キ (自分 の) 目を見 る /自分 の 目を見 るこ とはで きない


(
b. 目が見 える
34) a. 目が見 える
(
b. 鷲 の 目は遠 くまで (ものが) よ く見 える
b. この (めがね/
双眼鏡 )は遠 くまで (ものが) よ く見 える

33) の よ うに 「目が見 える」 に対応す る 「目を見 る」 はない。 (


また 、 ( 他者 の 目や鏡 に映
34) で示 され る (
った 自分 の 目を見 ることはで きる) これ は ( 可能) の意 味 に近 い。

5.
1.
2 意 味拡 張 と自他対応
田中 ( 2002)、高嶋 (
1996′ 2007) な ど視覚動詞 「
見 る」 の意 味構造 は、知覚 の意 味 を中心
1996) は、認 知言語 学 の
に、 メ タフ ァー的拡 張 とメ トニ ミ-的拡 張 にわ け られ る。 田中 (
み る」 の語義 の分析 か ら次 の よ うな多義 のネ ッ トワー ク構造 を描 いてい る。
観 点か らの 「

35) a. コ ップ をみ る
( (
基本義)
b. 庭 のほ うをみ る (
一認 知)
C. 書類 をみ る (
+理解 ・ 判 断)
d.先生が答案 をみ る (
+処理)
e. ピア ノの音 をみ る (
他 の知 覚 )
f
.痛 い 目をみ る (
経験)
42

図 3 田中 (
1996)

メタファー的な拡張は、 ヲ格 を とる名詞 で示 され る対象物が視覚的対象物 か ら抽象概念や


心的 な ものにな る拡張であ り、ほかの感 覚モ ダ リテ ィでの知覚 も、心的操作 (
概念的検討
や判断) になってい る。

36) a. 検査結果 に (
( -で)病状 の進行具合 を見 る ((
税知覚 +)検討)
a
′.検査 か ら病状 の進行 具合が ど うだか しっか り見た
b.検査結果 に (
≠で)病状の悪化 を見 る ((
視知覚 +)判断)
b′
.病状 の悪化 をはっき り見た
37) a. 検査結果 (
( に/
か ら)(
病状 の進行具合/
病状が進行 した こと)が見 える
a
′.検査結果 か ら病状 の進行 の度合 いが どの よ うであるか く
?見 えます/
見 られ ます )
b. 検査結果 (に/
か ら)病状 の悪化が見 える
38) a
( . 検査結果 を見 る と、病状が進行 してい ることが見えます
b. 検査結果 か ら病状 の進行具合 をみ ると、病状の悪化 が見 える
(
-検査結果か ら病状の悪化 がわか る)

この心的操作の意味の 自他対応 にお けるアスペ ク トにつ いて考 える と、 (


検討) の意 味 とい
うのは、活動的な継続相 の もので あ り、 (
判断)の意 味は到達相 の ものである。 自動詞 と対
応 関係 がほ とん ど明 白なのは (
36b) と (
37b)の (
判 断) の意 味で 、 (
37a) で も知覚 の対
36a) と同 じに もかかわ らず 、 (
象が ( 判 断) の意味が解釈 され る。
さらに次の例文 は視覚的情報 か らそ うでない感覚モ ダ リテ ィの情報-拡張 してい る例 で
ある。
『言語科学論集』 第 1
4号 (
2008) 4
3

39) a. (
( 先生/
生徒 )が答案 を見 る ((
視 知覚+)評価 (
判 断)+対処 /視知覚 のみ)
b. (
調律 師/
子供 )が ピア ノをみ る (
知覚+検討 ・
判 断+ (
対 処)/
視知覚 のみ)
C. (
子供/
入 院患者 )を看 る (
知覚+場 に応 じた検討 、判 断∼対処)
d. (医者/
看護 士/
子供 )が四人 の患者 をみ た

ここで着 目 したいの は、情報 を得 た あ との (


対処) まで メ トニ ミ-的 に意 味 は拡 張す る と
い うこ とである。これ が、具体的 な要素す なわ ち、視覚 での知覚 とい う具体性 が希薄化 し、
主観 化 した意 味拡 張 の結果 の意 味 とい える。 この とき、主語 にな る知 覚者 が (
対処) で き
る人 間だ と主観 的判 断 を加 え、 さらに適切 な対処 を とる とい う意 味 にな る。 ゆえに (
39a)
先生 な らば採 点 を行 った こ とが含意 され るが、生徒 だ とただ眺 め るだ け 、 (
Sワd) 医者 な ら
ば治療す る こ と、看護 士 な らば世話 をす る こ と、子供 な らばただ 目撃 した こ とのみ の意 味
が解釈 され るのがふつ うであ る。
さて、 この よ うな (
対処) まで合意す るよ うな表 現 の 自他対応 は どの よ うにな るか とい
うと、主体 の能力 が関わ る場合 「
評価や対処がで き るかで きないか」 とい う可能 の意 味で
ガ見 える」 は使 えず 、知覚者 を項 に とれ る可能 の 「ヲ見 (ら)れ る」 が使 われ る。
は 「

40) a. (
( 先生/
生徒 )が答案 をみ る (
-39a)
b. 生徒 には国語 の記述 の答案 (をみれ ない/
辞がみ えない )
(
41) a. (占い 師/
素人 )が手相 をみ る (
税知覚 +評価 (
主観 的判 断))
b. 素人 には手相 は (
見れ ないP見 えない )
C. この手相 には不幸 な未来が (
鼠 られ る/
見 える)

表現 のオ ンステー ジ領域 内に知覚者 の能力 の有無 を読み込 まなけれ ば な らない (


41a
′b) の
よ うな場合 、知覚者 が ステー ジ上 に乗れ ない 自動詞 表現 は容認 され ない とい うことであ る。
逆 に 、(
4lc) の よ うに、対象物 に関す る事実 を述べ る場合 は、 自動詞 も容認 され る。

42) a. 総理 の発言 に 日本 の (め/


( 残念 な)未 来 †
が見 え る/
を見 る)
b.彼 の発言 に将来性 を見たので、支持 を決 めた
C. 彼 の発言 に 日本 の未来が見 えたので、支持 を決 めた

-に∼ を見 る」 と 「
また、 「 ∼が見 える」 は対応 関係 にあ る。 これ は どち らも完了的 な (

念 的判 断/
評価) の意 味で あ り、継続相 の (
概念的検討) の意 味はない。
この よ うに、意 味拡 張の観 点か ら鑑み る と、自動詞 はなにか知覚 した際 に主観 的内容 (

念 的判 断/
評価) がで きるこ とを示 し、知覚行為 の様 態や 、知覚者 の行動 のス ク リプ トに乗
るよ うな意 味拡 張 は持 た な い。 逆 に見れ ば、他動詞 は、知覚者 の行動 の様態や能 力 に依 存
した行動 のス ク リプ トか らも意 味拡張 してい る とい える。
44

2聴覚での意味の広が りと自他対応
5.
5.1知覚 の意 味での 自他対応
2.
まず他動詞 「
聞 く」 の基本 的 な意 味 は聴覚 で情報 を捉 えることで ある。 この とき対象 は
聴覚上の情報か、情報が存在す る対象す なわち CD な どの情報 ソース、ス ピー カー な どの音
の発生源 とい うことになる。

43) a
( . (
普/ 話P窓の外/
物音/ キ左/
* 音楽/
校長先生/ CD/
ス ピーカー )を聞 く
b. (
普/物音/
話P窓の外/
キ左/
" 音楽/
校長先生/ cD/
キス ピーカー )が聞 こえる

聴覚の場合 、視覚 と違 って (
場所) を とれ ないのは、知覚刺激 である音の認識 を して初 め
聞 く」 とい うことが成立す るか らである。 (
て 「 44) は注意 して聞 くとい う文脈情報 を入れ
て初 めて継続相 の行為の過程 に着 目で き、結果 をキャンセルす ることがで きた文だ といえ
よ う。

(
44) 耳を澄 ま して よく聞いたのだが、何 も聞 こえなかった (
-4b) (
小 出 2006)
(
45) ?
CD を聞いたが、聞 こえなかった

45) が 「
もちろん文脈 によっては ( CD をかける」 とい う意味で も使 えな くはないが、その
よ うな用例 はほ とん ど見受 け られ ない。

46) a
( . (
美空ひば り/
ハイ フェ ッツ/
枝雀 )(を聞 く/
が聞 こえる)
b. 体育館 か ら (ビー トル ズ (
の曲)P校長先生/
校長先生の話 )が聞 こえた
C
. A:「
文化祭 で 田中の歌 を聞いた け ど、なかなか よかった よ」
B:「
僕 は海老原 さん を聞いた、 うまかった」

46) の よ うに音楽や落語 な どに関わ る固有名詞 な らばメ トニ ミ-的 に解釈 が可能 である


(
ものがある。 しか し話者 であ り、それ が何 である (
誰か ら発せ られ た)かを知 ってい るか
らといって 「
校長先生」の よ うな人 は対象 に とれ ないO これ は慣習的に成 り立 ってい るよ
46C
うで もあるが 、 ( )の よ うな文脈 に よっては特別 な固有名 でな くとも可能 にな る。

47) a
( . (
叶耳/
ス ピーカー )を聞 く
b. 音 が聞 こえる
C
. (
耳Pス ピーカー )が聞 こえる
48) a
( . 小 さい音 まで聞 こえる
b. 犬は人間に比べて小 さい音 (
が聞 こえる/
を聞 くことがで きる/
を聞 き とれ る)
C
. (耳Pス ピーカー/
イヤ フォ ン/
補聴器 )がちゃん と聞 こえる
『言語科学論集』 第 1
4号 (
2008) 45

(
47) の よ うにヲ格 の対象 には音 を発す るものは他動詞 で しか とれず 、 自動詞 では 「目」
の時 と同 じよ うに、知覚器官で何 か を知覚す ることが可能であるこ とを示す ことができる。
(
48b) で示す よ うに、 この 「
聞 こえる」は 「
聞 くことがで きる」 に言 い換 え られ る。対象
でな く、知覚器官の側 にある機器 な らば (
48C
) の よ うに容認 され る。

(
49) a. 話 を聞いてい る
b. 話 が聞 こえてい る
50) a. 彼 は (じっ く り/
( ゆっ く り/しっか り/
中途半端 に/ ??はっき り)話 を聞いた
b. ( 中途半端 に/
キじっ く り/ ??ゆっ く り/しっか り/
はっき り)話 が聞 こえる

(
49) は文脈情報 に よって様 々な解釈 が可能であろ うが 、 (
49a) と (
49b) では知覚者 の態
度や 、置 かれ てい る状況が全 く違 うと解釈 され よ う。 (
49a) では 自分 に向かって話 を して
い る相手 に向かって話 を聞いてい る とい う状況が想 定 され るが 、 (
49b) では、 自分 に向け
て話 され てい る状況 よ り、無 関係 の他人が無関係 の人間に向かって無 関係 な ことを しゃべ
ってい る状況のほ うが解釈 されやす い。 (
50a) と (
50b) で とれ る修飾語 が異 なってい るこ
とか らもこれ は示す ことがで きる。

5.2 意味拡張 と自他対応


2.
籾 山 ・深 田 (
2003)で国広 (
199
4′1
997)が提唱す る現象素 6を用 いた多義構造 の例 として
「き く」が挙げ られ てい るが、他動詞 「
き く」には主に三つの意 味が ある 。

(
51) a. A 君 はわか らない ところを先生 にきいた。
b.生徒た ちは熱 心に先生の話 をきいてい る。
C. この問題 について専門家 に話 をきいた。 (
籾 山 ・深 田 200
3:180)

この ときの、現象素 は (
相手 に情報 ・
答 えな どを求 めて、 (
相手の話 な どを)聴覚で捉 える)
であ り、出来事の全体 (
50C
)と部分 (
前半 51
a;後半 51
b) の関係 に基づ くメ トニ ミ-であ
る と捉 えることがで きる 。

これ以外 に、「き く」の意 味は次の よ うに 「


言 うことをき く」(
服従す る)の意味がある。

(
52) a. 社長の命令 をきいた。
b. (
子供/
親 )の言 うことをいちいちきいてはい られ ない

時間軸 の観点か らこれ を捉 えるな ら、これ は知覚 の 「


聞 く」を中心に、まず 、知覚の 「

聞 く」前の 「
く」 こと、つま り聴覚的情報 を得 ることを 目的 とした 「 訊 く」 (
質問す る) が
ある。 また、聞いた こ とに対す る対処 、誰 かの指示 を 「
聞いた」ために しなけれ ばいけな
46

い ことを知 り、それ に従 うとい う 「


聞いた」あ との 「
言 うことをき く」(
服従す る)がある。
これ は時間的 な隣接性 に基づ くメ トニ ミ-で ある とも考 え られ る。対処 で きる能力 が あっ
て、情報 を得 た ことによる ( み る」 と同 じス ク リプ トに基づ い
39) の 「
対処) の意味は 、 (
た意味拡張である といえよ う。
では、意 味拡 張後 の他動詞 と自動詞 の対応 関係 は どの よ うにな るか とい うと、ほ とん ど
対応 していない。

53) a. 先生 にわか らない点 を聞いた


(
≠b.先生か らわか らない点が聞 こえた
(
54) 話 を聞いているよ うで (
聞いていない/
終聞 こえていない)

この よ うに話や噂 な ど人間の発す る言語情報 に関 しては 自動詞 と他動詞 で分布 が異 な る。


更に次の例 を示す。

55) a
( . ??噂が聞 こえて、人が集 まってきた
b. 噂 を (
聞いて/
聞 きつ けて)人が集 まってきた
56) a. 噂 はかねがね (
( 聞いて/
聞 き及 んで)参 りま した
b. 噂はかねがね聞 こえて参 りま した
57) a
( 聞いて/
. あなたの話 は彼 か ら常々 ( ??聞 こえて/
聞か されて )います
b. あなたの話 は常々 (
"聞 こえて/
聞いて )います

噂な ど 「
話 の内容」の場合 は、 自動詞 が許容 され るが、誰 かか ら 「
聞 く」 とい う行為 が喚
起 され る場合 は、や は り自動詞 との対応 がない。

58) a. ただの挨拶 も、嫌味 に聞 こえる


(
b.叶
ただの挨拶 を嫌 味に聞いて しま う

また、 「
-ガ∼ に聞 こえる」 は主観 的判断 を伴 った情報 の受容 を示す ことがで きる。 これ は
他動詞 「
-・ヲ∼ に聞 く」 とは対応 がな く、主観 的判 断の意味 を とることは他動詞 では不可
能で ある。 この よ うな構文で、 自動詞 「
聞 こえる」 のみが く
主観 的判 断) の意 味 を持 って
いるとい うことがで きる。

3 喚覚での意味の広が りと自他対応
5.
5.
3.1知覚の意 味での 自他対応
まず他動詞 「
喚 ぐ」 の基本 的 な意 味は喚覚で情報 を捉 えるこ とである。 この とき、対象
は、物理的物体や場所 、 さらに、においが許容 され る。
『言語科学論集』第 1
4号 (
200
8) 4
7

59) a. (
( 窓の外/
部屋の中/
バ ラ、料理、 ゴミ/
におい)を喚 ぐ
b. (窓の外/
部屋の中/
バ ラ、料理、 ゴミ/
叶におい)を吸いだが、何 もにおいが しな
かった

においを喚 ぐ」だけが完了の意味を持 っていると考 え られ る。 しか しこれ も対


この とき、「
象が明 らかになっている場合は、 「
喚 ぐ」 とい う動作 (
鼻 を近づ けて息を吸 う) を表す継続
相的な意味になってい るといえよ う。

(
60) a. (窓の外/
部屋 の中/
バ ラ/ゴミ)のにおいを喚いだが、何 も匂いが しなかった
い い/
b. どこか らともな く ( バ ラの)匂いを喚いだ (4
ゴ ミの/ '/
辞が、何の匂い も し
なかった)

(
ろob)の よ うに、その継続相的な動作が伴 わない よ うな場合 のみ 、完了相的意味を持 ち、
自動詞 によるキャンセルができな くなる。 ゆえに、 「
喚 ぐ」は前の二つ と違 って、完了的な
意味 と、継続相的な意味 を同時に持つ ことがない と考 え られ る。

5
.3.
2意味拡張 と自他対応
喚 ぐ」 にはたい した拡張が見 られ ないが、アスペ ク ト指 定す るよ うな後項がつ く複合

動詞では、喚覚以外 の情報 を探索 し、情報 を得 るとい うよ うな意味がある。

( 喚いだ/
61) a.梅 のにおいを ( ??喚 ぎつ けた)
b.好物のあん このにおいを (
喚 いで/
喚 ぎつけて)店 を発見 した
C. 有名女優 のスキャンダル を (
称嘆いだ/
喚 ぎつけた)

(
61a)の よ うに、ただそ こにあるのではな く、探 していた見つ けに くい情報 を得 るよ うな
喚 ぎつ ける」 は使 える。
場合に、 「
喚覚情報の場合 は、対象 を刺激である 「
におい」 に限定 していて、刺激の発生源つま り
場所 を対象 には とれ ない。つま り、「
におい」以外の情報 を入手 した とい う到達相の解釈が
ない。 しか し 「 喚 ぎつける」の場合 はそ うではな く、 く
喚 ぎ取 る」 や 「 その場所が刺激 の発
生源である) とい うことを認識 した とい う意味 を持 っていることがわか る。(
62)は喚覚情
事鋸こ関す ることだが 、(
62b)になるとすでに 「におい」ではな く、 (
においがあることを認
識 してい る) とい う意味で概念的意味に拡張 しているため、 「
喚 ぐ」では不十分になること
63) は対象 も概念的であ り、 このよ うな とき到達相 をもたない 「
がわか る。 ( 喚 ぐ」は意味
拡張せず 、使 えない。
48

62) a
( . 塞 (め/
のにお い )を (
喚 いだ/
喚 ぎ取 った ) ミツバチが群 が ってや って きた
b. 蜜 の あ りか を (
??喚 いだ/
喚 ぎ取 った ) ミツバチ が群 が ってや って きた
(
63) 利権 のあ りか を (
称嘆 いだ/
喚 ぎ取 った/
喚 ぎっ けた )マ ス コ ミが群 が って取材 に
や って きた
64) a
( . あの男 がにお うな
b. この事件 では あの男 が ど うもくさい

喚 ぐ」 に対応す る 自動詞 「にお う」や形 容詞 「くさい」 も同 じ基


64) の よ うに、 「
また 、 (
盤 で拡 張 してい る とい える。

6.知覚動詞の多義の構造化 :アスペ ク トの観点か ら


ア スペ ク トを決 定す る時 間軸 を横 に、主観性 の度合 い を縦 に とる と、視 覚 、聴 覚 、喚覚
の他動詞 と自動詞 の多義構造 マ ップは次 の よ うにな る。縦軸 は、客観 か ら主観 の方- (
a)
行為 を他者 と共有 してい る 、 (
ち) 対象 を他者 と共有 してい る、 (
C) 主観 的 ・心 内活動 と し
a) は行為 の様 態 を示 す意 味 、(
た。 ( b)が (
知覚) の完 了 まで を示す意 味 で、 (
C) は各 々
の感 覚モ ダ リテ ィご との情報 でな く、(
概念的判 断)-意味拡 張 してい る ときの意味である。
この図の横 軸 は他動詞 のア スペ ク トを中心 に捉 えて い るた め、 自動詞 のアスペ ク トの問
題 につ いては深入 りせず 、他動詞 の完了時の意 味 と対応 があ る とい う理 由で配置 してい る。
知覚 した とき、 ( ∼ と して 」認識す る) こ とはす なわ ち (
モ ノを 「 判 断)す ることであ る
ので 、知覚 の背景 に (
判 断) が広 が ってい る。 ただ し、 メ トニ ミ-的拡 張 は、 この次元 に
うま くの らないので破線 で示 し、(
可能)は時間に関係 ない環境情報 だが、便宜的 に示 した。
(
可能)は 情報 があ る とき、ほかの背景 に存在す るが、その こ とにつ いての図示 は控 えた。

客観
1

--

.
--- ヽ

∂ 行為を他 者 と 共有 左(
を を向ける ) I
目見る 、 倒を

蘭 対処みる
( ) メ
.

b対象を他者 と共有 -ヲ見る (


場所 ニ)-が 見える
(
知覚)

(主観的 ・心内活動
じっくり見
(
検討)る 二言言 r
,
Z 芸 .
..ガ∼ニ見える 口篭 i
i,る
主 観

継続 ・活動 結果 ・状態
図4 「 見 える」の多義構 造
見 る/
『言語科学論集』第 1
4号 (
2008) 49

客観 ′
:いうことをき く t
:
∂行為を他者 と共有 人ニ /力ラ)-ヲ訊 く し
( 、 (対処) ノ
(
情報収集)

b対象を他者 と共有

⊂主観的 ・心内活動

主観

継 続 ・活 動 結 果 ・状 態

図5 「 聞 こえる」の多義構造
聞 く/

客観

∂行為を他者と共有

(
-ヲ喚
情報収集)
ぐ ′
b対象を他者 と共有 -.(
匂い) ヲ唄いだ 匂 /香iつている
-ガ i

(
知覚) ・
..ガ くさい
(主観的 ・心内活動
(
事件を喚ぎまわる) (
事件をかぎつける)

主観

継 続 ・活 動 結 果 ・状 態

図6 「
喚 ぐ」 とその周辺 の多義構造

この よ うに、主観 的判断の意味では 自動詞 が使 われ る。主観 的 な判断、評価 を行 う主体


は常に一人称で、 これ をあえて 「
私 は∼ と見た 」 とか 「 は)そ う聞 こえた」 といわ
私に (
な くとも、誰 の判断かわか る。 しか し、誰 の判断で もな く、 自発的 あ るいは、環境情報 と
して 自ず か らそ うある、 といったニュア ンス も汲み取れ る。 これ に伝統的にいわれ てきた
わた しが判断 した」 とい う言 い方 よ りも 「こ う判断 され る」 とい
考察 を加 えるのな らば、 「
う言い回 し、つ ま り 「 ナル的 」 (
スル的」 よ り 「 cf.池上 1
981) が好 まれてい るといえる。
知覚の 自動詞 のアスペ ク トは 「
えせ アスペ ク ト」な どとよばれ (
cf.奥 田 1
977)、 「
完成相
形式 を と りなが ら継続相 のアスペ ク ト的意 味 を持 ってい るか ら特殊 だ とい うのではな くて、
アスペ ク トの うえで完成相の基本的な意味 も継続相 の基本的 な意 味 も持 っていない」 (
高橋
5
0

1
984) との指摘 がある。知覚者 が叙述 のス コープ内にい ることを示す が、一方 で、知覚者
が い れ ば、知覚 され る状態 にあるとい う条件付 きの対象の存在 を示 してい る ともいえる。
ここでは紙幅 の都合上 これ以上の言及 は避 けるが、嘆覚だけでな く視覚や聴覚 に も周辺
語童 が存在す る。 た とえば、視覚では 「
光 る、鮮や か、明るい、まぶ しい、暗い」聴覚で
は 「
音 がす る、響 く、 うる さい、静かだ」な どそれ ぞれ挙げ られ る。 これ らもこの構造の
なかに書 き込む ことは可能 と考 え られ る。

7
.おわ りに
7
.1 ま とめ
本稿 では、知覚 の他動詞 と自動詞 の意 味拡張 につ いて、アスペ ク トと主観性 の違 いに着
目して分析 を行 った。 自動詞 の よ うに、知覚者 が動詞 の項 に入 らない と、知覚 とい う活動
ではな く、その結果状態 と しての主観 的判 断内容 にフォーカスが 当た り、 これ を基盤 に意
味が シフ トし、主観 的な意 味- の拡張が起 こるこ とを示 した。 この傾 向は、 「
見 る/
見 える」

聞 く/
聞 こえる」 の対だけでな く、 「 匂 う」 で も起 こることも観 察 され た。
喚 ぐ/
視 覚 と聴覚では、他動詞 と自動詞 の対応 関係 が あ るが、喚覚 ではないのは、 「
見 る」 「

く」 が他 の有対他動詞 と同様 、行為 の様態 自体 よ り、結果 を含 んだ全体 を意 味す る他動詞
であ り、一方 で 「
喚 ぐ」 は行為 の様態 をあ らわ し、知覚の成 立の局面 を含 まない用法が 中
心的 だか らであ る と考 え られ る。 しか し、完了的 なア スペ ク トを指示す る後項 をつ けた複
合動詞 は、視覚 と聴覚の表現 と同 じよ うに意味拡張す ることもわかった。 また、 「
見 る」で
は 「
左 を見 る」な ど他者 と共有で きる行為 を示す のに対 し 「
聞 く」では、知覚の意味の際、
基本 的 には知覚 した こと しか示 さず 、他者 のいない知覚 は常 に 「
聞 こえ る」 と対応す る。
以上 の こ とは身体性 の反 映で ある とい える 。 つ ま り、 目は 情報探 索のた めに他者 か らも見
える動 作 を行 うが、耳は もっぱ ら情報 を受容す る器 官である とい うこと、 日本人の 日常生
活では喚覚ではあま り情報 を得 よ うとす ることが少 な く、突然 くさいにおいがす ることと、
何かが匂 うか意識 的 に喚 ご うとす るこ とに隔た りがあ ることな どを反 映 してい るのだ とい
える。
意 味拡張 に当た っては、他動詞 の到達相的な側面での拡張 と、 自動詞 が対応 関係 にあ る
が、 自動詞 のほ うが よ り主観 的判断 ・評価 の意 味 に拡張 を持つ ことが あ る。 これ は特 に聴
覚で は顕著であ る。他動詞 は、主観 的 な意 味 を持つ とはいえ、判断 ・評価 した主体が叙述
のス コー プに直接入 り込む ため、主体 の判断であ る とい った意 味合 いが強 いが、 自動詞 の
場合 は、知覚者 が直接 ス コー プには入 らないた め、 よ り対象 に関す る記述 で ある といった
側面 が強 い。他動詞 と自動詞 の意味の違 いは、結局 この主体の存在 が どこまで解釈 され る
かにあ り、 「
聞 く」 では、 「
話 を聞 く」な ど相手がい る場合 とそ うでない場合 でふ るまいが
ちが うこ とも観 察 され た。 これ もまた、感覚モ ダ リテ ィごとの役割 の違 い を反映 してい る
といえよ う 。

以上 の よ うに、感覚モ ダ リテ ィごとの身体性 と情報 の特性 を反映 したアスペ ク トに基づ


『言語科学論集』第 1
4号 (
2008) 51

く自他対応 と意 味拡張が観察 された。

7
.2 さらなる考察 と今後の課題
7
.2.
1多義構 造 について
多義構 造 は、 さま ざまな観 点か ら描 くこ とがで きる。 ここで示 した、主観性 とアスペ ク
トの関係 か らの整理 もまた、ひ とつのや り方である。La
ngac
kerのネ ッ トワー クモデルや 、
国広一籾 山の現象素 を中心 としたモデル は汎用性 の高い妥 当なモデル である といえよ う。 し
か し、本稿 で提案 した よ うな、ある意 味特殊 なモデル化 で行 ってい ることは、その実は、
様 々な要素 のあ る意味のマ トリックスの中で、着 目したい観 点 を軸 に整理 し直 したので あ
る。 実際 の意 味の構造 とい うのは、二次元や三次元で描 け るものではな く、それ以上の次
元に渡 って展 開す るマ トリックスを持 ってい る 。 ゆえに、多義 の構造 につ いて考 える とき
は、観 察 したい事象 に よって、取捨選択す るこ とが求 め られ る。 2.
2.
2 で と りあげた高嶋
(
2008a)ではメタファー (
主観/
概念的領域-の投射) とメ トニ ミ- (
行動 =イベ ン トのス
ク リプ トにお け る時間関係) とい う二つの軸か らの多義構造 を描 いた。本稿第 6 節 では、
また違 った観 点か ら多義構造 を描 いた。 もちろん、語 の意 味が人 間の理解 で きるものであ
るがゆえに、意 味 を構成す る要素 も無 限ではない。 ゆえに無 限 に構造 があるわけではない
と考 えるのが妥 当であろ う。 しか しなが ら、多義 の構造 につ いて考察す る とき、なんのた
めに、 どんな観 点か ら整理 したのか とい うこ とにつ いては、常 に明示 され るべ きで あろ う
ことを申 し添 えてお きたい。 この点か らい うな ら本稿 は、感覚モ ダ リテ ィごとの 自他動詞
の差 を明確 にす るために、三つの感覚モ ダ リテ ィの特徴 をカバーで きる次元 を選び 、記述 ・
構造化 を行 った ものである。
認知言語学 では安易 に 「
ゲシュタル ト的」な認知 とい うことを主張 して しまいがちだが、
言語学の意義 を考 える とき、意味理解 のための計算モデル を考 え よ うとす るこ とや 、認知
科学 との整合性 を図 ろ うとす る試み を疎 かに していてはい けない。本稿 で試 みた こ とは、
現象の記述 と、それ をま とめる妥 当な構造 を提示す ることで ある。

.
72.
2知覚 と属性 ・感 覚形容詞
本稿 で は、遠感覚 と呼ばれ る視覚 と聴覚 を中心 に、喚覚 の表現 まで を扱 ったが、味覚 ・
触覚の表現 は扱 えていない。触覚の表現 では、 自分が他者 を 「
触 る」 とき、同時 に他者 が
触 る」 とい う両義性 が複雑 であ り、一概 に知覚動詞 と呼べ ない性質 が多 く存在す
自分に 「
るため、今後 の課題 として挙げてお くに とどめる。 また、味覚 においては、 「
味わ う」 こと
は (
知覚 )だ けで な く (
楽 しむ) といった活動 に属 してい る 。 さらに 「
味がす る」 とい う
知覚対象 の属性 に関す る表現が中心で、 「
甘 い ・辛い ・しょっぱい」な どの形容詞 の表現が
典型的で あ る。 五感 の表現 を包括的 に考察 しよ うと試 み る際 には、動詞 とあわせ て知覚対
象の属性 を示す感覚形容詞 も検討 してい く必要 がある。
視覚 と触 覚 どち らを中心 に考 えるか につ いて は哲学 的観 点 を含 め、議論 が絶 えない。
52

La
ngac
kerのモデル は空 間一
視覚 中心的であ るが、一方 で認 知言語 学 は 「
身体性 」を唱 える 。

言語表現 上 では どのモデル で どの よ うな事態 が捉 え られ るのか につ いて 、今後 も追求 して


い きたい。


叶 本稿 は、 日本言語学会第 1
36回大会 (
2008年 6月 学習院大学) での 口頭発表 「
知覚動
詞 の他動性 とアスペ ク ト∼ 意 味拡張 と身体性 の観 点 か ら-」 を も とに、大幅 な改訂 と加
筆 を行 った もので あ る。発表 に際 しては、司会 の吉村 あき子先生 (
奈 良女子大学)、会場
の西光義弘先生 、松本曜先生 (
神 戸大学) か ら有益 な コメン トをいただいた。 また、多
義構造 に関す る見解 は、言語 処理学会 (
2008年 3月) に際 して井上優 先生 (
国立国語研
究所) にいただいた コメ ン トが元 になってい る。 これ らの コメ ン トに対 して現段 階で十
分 な回答 にな って い る とは言 い難 い点 も多 々あ るが、 この場 を借 りてお礼 を申 し上 げた
い。 もちろん、本稿 の不備 はすべて筆者 の責 に帰す る。
1 ここでは詳細 に立 ち入 らないが、「 バ ラをにお ってみ る」
バ ラを喚 いでみ る」を関西 で は 「
とい う表現 が可能 で 、 「
にお う」 を 自他 同形 の動詞 と して用 い るこ とがあ る。
2 小泉 (
198
9)、小 出 (
200
6) な どで整理 され て きた よ うに、五感 (
視覚 、聴覚 、喚覚 、味
覚 、触覚) を トップ ダ ウン的 に与 えて寄せ集 めた動詞 を、す べ て知覚 の動詞 とい うこ と
もで きるが、「
触 る、触れ る」は物理的接触 の意 味の ほ うが強 い。た とえば 「
写真 が鮮や
かで あ る」 こ とを知覚 した こ とを 「
写真 が鮮や か に見 えた」 とい うこ とはで きる。 しか
絹 の手触 りが柔 らか い」 とい う意 味で 巨絹 は柔 らか く触 る」 とい う表現 はで きな
し、 「
い 。「子供 がガ ラスケー スを触 ってい る」な ど、知覚 を 目的 と していて もいな くて も使 え
る。 また、味覚 の表 現 は、「
味わ う」 とい う動詞 が あ る以外 は、食 べ物 の属性 を表す 「

い、辛 い、まず い」 な ど感 覚形容詞 が大半 を 占め る。

3 中右 (
1994)や 也水 (
200
5) な どでは、英語 の l
ook (
at)と s
ee、l
ist
en(
to)と he
arの別
に着 目し、前者 が行 為 の遂行 、後者 が行為 の成就 をそれぞれ別 々に語嚢化 してい るこ と
が指摘 され てい る。出水 は l
ookatが 「
対象 に視線 を向けてい る」とい う規定値 を もち、メ
トニ ミ-的 に s
eeが含意 され るが、それぞれ の文脈 の指 定 に よってそ の解釈 は破棄 で き
る とい う主張 を して い る。
4 そ もそ も 「メンタル ・コンタク ト」 とい う用語 法 には問題 が あ る。 「コンタク ト」す なわ
ち接触 は、物理 的接触 を基本 に考 える とす る と、接 触す る側 とされ る側 とい う方 向性 が
明 白にな らない とい う点で暖味で ある。接触 してい る状態 とい うのは、二つ の別 々の個
体 が前 に離れ ていて、以後離れ るこ とが可能 で あ る とい う前提 を必要 とす るが、接触 の
メ タフ ァーで知覚 を語 るのは、暖昧 さを解 消 しない。 このた め動作 主か ら被動作主- の
行 為 の方 向になぞ らえ られ る志 向性や 、情報 の 「
移 動」 とい う概念 にまつ わ る方向の よ
うな もので、実際 に物理 的物体 問の接触 がない もの をメンタル ・コンタク トと呼んで い
る と解釈す るこ ととす る。
『言語科学論集』第 1
4号 (
2008) 53

2004) は Ta
5 松本 ( lmy (
2000) の虚構移動 の観点か ら、視覚表現 には 「目を注 ぐ、視線
視線 を対象-放射す る」移動がある ことを指摘 してい る。 さらに 「目に
が届 く」 な ど 「
飛び込 んで くる」 な ど映像 の移動 があることも指摘 され る。
6 現象素 とは、 「
語 の用法 と結びついた、外界の現象 ・出来事 ・もの ・
動作な ど、感覚で捉 え
るこ とがで きるもので、言語外 に人 間の認知 の対象 として認 め られ るもので、多義 は こ
国広 1
の現象素 の認知 の仕方の違 いが主な原因で生 じる」 ( 997)

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