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鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山院長

Column 家庭医診療科

岡田 唯男
2 つの桃のルール・ 家庭医(米国家庭医療学会認定専門医)。Faculty

バナナをとれない猿 Developer(指導医養成者の育成)。公衆衛生学修士。
普段は家庭医の育成と家庭医療の実践、週末は指導
医の育成。東海大学客員准教授、東京医科歯科大学
臨床准教授。

物語(story)は何らかの教訓を伝える際に直接よ 全員が新しい猿に入れ替わった時点で、どの猿も 1
りもしばしば重みを持つ。今回は 2 つのたとえ話を 度も冷水を浴びされた経験はなく、なぜ階段に近づい
紹介したい。 ては行けないかのもともとの理由を知る猿はいないに
もかかわらず、階段へ近づく猿を全員で阻止する、と
2 つの桃のルール  ある村にとてもとてもおいし
1
いう行動だけが残るのである。
い桃のとれる木があった。収穫のシーズンになると村 これら話が事実なのかは確認できなかったが、その
人が収穫を争って死人がでるほどだったため、村長は こと重要ではない。この 2 つの話に共通する「教訓」
「1 人 2 つまで。ルールを破ったら追放」という決ま はなんであろうか。
りを作った。それで争いは一切なくなった。何世代も 特に 2 つ目の話はビジネスの世界で組織の硬直化
後になって、
桃の木はこぼれ種などから本数を増やし、 はなぜ起きるか、のたとえとしてよく引き合いに出さ
2 つの桃のルールを守らずとも全員に行きわたり、か れる。桃の話も含め、「以前からそうだから」「そうす
つ沢山の余りがでるまでになったが、誰もそのルール るよう上司から言われたから」という既成事実だけが
を破らなかった。あるとき聡明な子どもが大人に向か 1 人歩きをしてしまう。そのルールが導入された当時
って、 「これだけ桃が沢山なっているのに、どうして は正当な理由があったかもしれないが、すでに状況が
1 人 2 つしかダメなの?」と尋ねたところ、「昔から 変わっており、ルール自体が意味をなさないにもかか
そうだからさ。それを破ると死人がでるんだそうだ。 わらず、「ルールはルール、守るもの」というルール
そんなことはごめんだ。 」 だけが堅守され、ルールそのものの妥当性の見直しが
されない。朝令暮改は迷惑だが、一方で、すでにその
バナナをとれない猿 2,3,4 オリの中に 5 匹の猿と階 現実的存在価値を失ったルールを見直すことがなけれ
段。階段を上ると届くところにバナナをつり下げる。 ば、組織は存在理由を失ったルールにより硬直化して
当然猿は階段を上りバナナを取ろうとするが、階段に ゆくのである。
触れた瞬間に、「全部の」猿に冷水を浴びせる装置が ルールの遵守のために人がいるのではなく、人の幸
ある。これをしばらく繰り返すと、あるときから、一 せのためにルールがあるのだから、それが人の幸せに
匹の猿がバナナをとろうと階段へ向かった瞬間に、他 貢献しなくなったらルールを変えなければならない。
の猿がその猿を全力で阻止し、袋だたきにするように 自らに課しているルール、所属する組織のルールで
なる。その時点(条件付けが終了)で冷水の装置は取 すでにその存在意義を失っているものはないだろう
り除き、猿を一匹だけ全く新しい猿に入れ替える。当 か。誰のための、何のためのルールなのか、見直す機
然その猿は何も知らないので階段の上のバナナを見つ 会をぜひ持って頂きたい。医療行政も含めて。
け、取りに行こうとするが、他の 4 匹の猿が全力で
阻止する。新しい猿は何度か階段にアプローチするが 参考文献:
1. 原典は定かではないが誰かの講義で聴いたのを鮮明に覚え
毎回阻止されるため最終的には階段へのアプローチを
ている。
やめる。さてここで、もともといた猿をもう 1 匹新 2. バナナをとれない猿、もしくは "Start with a cage containing
しい猿に入れ替える。同じことが起き、先に入った 1 five monkeys" で検索すると多数のサイトが見つかる。心理
学の実験とされるが原典は見つけられない。
匹目の新しい猿も 2 匹目の新しい猿を止めにかかる。 3. 企 業 文 化 が 形 成 さ れ る 経 緯 <http://www.geekpage.jp/
最終的に 2 匹目の新しい猿は階段へのアプローチを blog/?id=2007/10/22>
やめる。さらにもう 1 匹、もう 1 匹と入れ替えて、 4. 5. Monkeys(数分のビデオで猿の話が見られる)<http://
www.youtube.com/watch?v=KZeiSKnhOBc>
もともとの 5 匹が全部新しい猿になるまで続ける。

52 March 2011 Vol.7  No.1